誰の造語だ?

中1の国語で芥川龍之介のトロッコを読みました。軌条(レール)という言葉が教科書の文章に出てくるのが珍しく、そこから熱海線・丹那トンネル・国府津・山北・御殿場線と興味がどんどんアサッテの方角に逸れて行って、気が付いたときには予後不良本復不能の重症テツが世の中にひとり増えていました。

まぁ、それ以前に切符とか、福島交通軌道線・仙台市電・ED71等々、ろくに消毒もマスクも予防接種もしないまま危険な病原菌に触れていましたので下地は十分にできあがっていたんだとは思いますが…(笑)。

さて、その潜伏期感染者を完全に発症せしめた小説・トロッコですが、そこで覚えた単語に【敷設】がありました。線路を敷くことを敷設と呼ぶのか、なるほどなぁ。字面と意味がしっくりとマッチしていたせいでスッとアタマに入りました。

ところが、です!

 ↓ ちょいとこれ見てくださいな。

名称未設定 3

ここ通る度になぁ~んか視覚の隅っこにチカッと棘が刺さるような違和感を覚えていたんですが、この度ようやっとその原因を突き止めました。

【布設】の文字です。義務教育で敷設と教わって以来、半世紀以上もずーっとそれを使ってきましたが、それを布設とはなにごとか、千葉県は漢字が読めんのか!?

なんて、鬼の首でもとった気分で揚げ足取りしてやろうと思ったんですが、待てまて、いったん落ち着け。ここまで堂々と書いて憚るところがないとゆーことは、ひょっとしたらこっちが知らないうちの『漢字書き取り』の方でルールが変わっちゃってるのかもしれねえぞ、なんせバレーだって4打目で打ち返してもオーバータイムのアウトにならなくなっちゃってんだから、いまのコドモらがアタック№1とかミュンヘンへの道なんて観たら首かしげるだろうし、用心に越したことはない、なんて考えながら、念のために最新版の辞書を繰ってみました。

したら、驚くじゃないですか!

特に水道管の設置埋設工事の場合は布設の文字が用いられる『ようになった』と書かれてます。

つまり、元々はインフラ関係の設置工事は全て敷設だったのに、いつから、どうした訳がらでそうなったのかという背景の説明が全くないまま、水道事業に関する限り布設の表記が一般的になっていた、といった趣旨の解説が書かれていました。

するてえとなにか、いま中学生に『下線部を漢字で書け』と出題する場合には、

1:線路をふせつする。
2:下水道をふせつする。

1と2で正解が違うってことですかい?

んなアホな!!

どんな必要があって布設を持ち出してきたのかは知りませんけど、そんなに簡単に正解と不正解が入れ替わってたまるかってんですよ。もしまつしまが半世紀前に定期試験で2の問いに布設と書いたらおそらく×つけられた筈です。別に言葉が変わっちゃいかんてなことを云う気はありませんけど、それも状況や語彙の種類によりますわな。

そもそも国語学者の見解はどうなんでしょうか?

それにフセツという言葉は、様々な工事現場やその設計図・仕様書その他でごく頻繁に登場しますから、外国人が技能実習生とか特定技能者とか、日本語検定N4レベルで就労しようとする際に要求される語彙の中には必ず入ってる単語と推測します。

布設が水道所業に関して正解だと云うなら別にそれでも構いませんけど、んでも、どんな必要があって敷設という語彙を敢えて布設に置き換えたのか、その理由だけはせめてはっきりさせておくべきでしょう。それを黙認放置することは、敷設と布設ばかりでなく、とりもなおさず境界線がはっきりしない語彙群になし崩しで甲と乙が並存する状態を招来しかねず、その結果はただでさえ言語学的に不完全で複雑かつ曖昧な日本語がますます判りにくくなっていくばかりです。

母国語として使う者にさえ容易に理解できないんですから、況んや外国人に於いておや、でしょ?

ってか、仮に英語やフランス語で同じことされたら、仕事でそれらを使わざるを得ない人は『テキトーなことやってんじゃねーよ!』って怒りますよね、普通に考えたら…。

蛇足ながら、学術論文に日本語が認められないのはそういう理由があるんです。特に理工系には英語の苦手な学生や研究者をいじめるためだ、不公平だ、と怒っている人がけっこういますが、別に理系イジメが目的ではありません(苦笑)、日本人の論文だけ特別念入りにいじめていられるほど世界の学者たちはヒマじゃありませんからね♪




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コメント

ミスター54

布設ですねえ
戦後新仮名遣いになるのに並行して、漢字も新漢字に置き換えられたものがいくつもありました
その折に、煩雑な旧漢字から習慣的に省略されていたものが、新漢字として認められたものと、消滅したものがあったと思います

“敷設”は画数が多くて実に大変なので、水道工事現場では習慣的に略して“布設”と書いていたものが、正式に認められたのではないかなあ、と想像します
 たとえば“蝶番”はふつう「ちょうつがい」と読みますが、現場で「ちょうばん」と言っているうちに、正式な読み方のひとつになってしいました。こちらは読み方です
 一方で、消えた略字も結構あったかと思います。点数の“点”の下が“大”になっている字だとか、第一、第二などの“第”の略字(片仮名のオにハネをつけてに点を打った字)や、協力の“協”の作りを省略した字は、正式なものになりませんでした。一方で“渋”は略字が正式になりましたし、漢字によって「しんにゅう」の点が一つだったり二つのままだったり、いい加減だと思います
日本語だけで考えれば自己完結しているのかも知れませんが、世界的には繁体字との関係が曖昧で、国際的な漢字コードには日本のJISは採用されなかったとの記事を読んだことがあります

急行まつしま2号

Re: 布設ですねえ
ミスター54さん:こんにちは、コメントありがとうございました。

こないだ図書館で国語大辞典ひらいたら、上水道も下水道も『地域全体に布をかぶせるように…』てな意図から使われだしたと書いてありましたが、どうも敗戦後のハナシのようでどこまで本当なんだか、おそらく【諸説あり】のうちのひとつなんでしょう。まぁ、明確に反論する根拠もありませんので、(はぁ、そうなんスか…)ってところですけど(苦笑)。

日本の漢字は台湾からみれば略字、大陸からだと旧字。座席指定という制度は中国語で対号と云うそうですが、台湾だと對號、北京上海では对號、なんだかナンバーズや3連単のボックス買いみたいですが、とても同じこと云ってるようには見えません(笑)。

以前テレビでサイトウという姓を解説する番組を観ましたが、斎藤斉藤齋藤齊藤…とサイの字が数限りなく出てきて、『なんだってそんなに…?』というギモンの答えが『正字を知らなかった役人が間違えて(=テキトーにそれっぽく)書いたから』でした。たしか様々な『サイ』の字が20種類くらいあって心底驚きました。こんなんじゃ国際性なんて夢のまた夢、ってところなんでしょう。
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プロフィール

急行まつしま2号

2019/8/12 に Yahoo blog から移ってきました。2008/3/28 から活動しています。

残念写真はFH君(高校時代の同級生)の叔父さん(故人)が1960~62年にかけて撮影したもので、まつしま(以下、管理人という)は約40年前、高校卒業時にそのベタ焼きスクラップ帳をFH君から預かりました。

約半世紀が過ぎ、管理人にも終活準備の必要が迫ってきましたが、どの被写体もこのまま埋もれさるのはあまりにも惜しいと考えて公開を決意しました。

全ての記述と残念写真を除く全ての画像は、管理人によるものとお考え下さい。従って、残念写真に対する苦情・異議等は、いっさいお受け致しかねます。この点、あらかじめご了承頂くとともに、不同意の方の閲覧は(たとえ記事が全公開に設定されている場合であっても)お断り致します。

また、残念写真以外の全てについては、管理人の責任と権限で対応致しますが、管理人が【適切でない、相応しくない、好ましくない、不快である】等と判断した書き込みは、発見し次第、全て管理人の一存で警告なしに即刻削除します。この点も併せてご了解頂きます。

なお、上記の点は、全て【管理人の固い意思】であって【どなたからどのような種類の申し入れ等があっても応じない】こと、及び【どなたとの議論にも応じない】ことを、あらかじめ明記しておきます。

これらの方針に同意されない方の閲覧は当方から固くお断り致しますので、どうぞ速やかにご退出ください。

記事を閲覧される方は、(万が一紛議等が生じた場合も含めて)全てここに記述した方針に同意され応諾された方として対処致しますので、念のため此処に併せて明記しておきます。

原則的に【来る者は拒まず】が基本スタンスですが、ただし、管理者に対して過去に敵対的言辞等を執った事実のある者からの再接触等は、たといそれが当該敵対的行動の撤回及び謝罪並びに釈明等であっても、その全てを拒絶します。

もし釈明や和解の必要を感じたなら、その時点で直ちにそう処置した筈であり、またそう処置すべきでもありました。それをしないまま再接触を図るということは、

①なんらかの意図があって、非敵対的な態度を偽装もしくは隠蔽している

②記憶力に欠陥のある攻撃的性格

上記①または②のいずれかと考えざるを得ません。すなわち将来に於いて再び敵対的言辞を吐き散らし敵対的行動を執る危険性が極めて大きい者である可能性を窺わせる者である、と見做し得るわけで、そういう面倒くさいヤツと関わり合うのは金輪際願い下げ、二度と御免蒙ります。

そんなヤツに愛想笑いなどする気は全くありません。見つけたら直ちに叩き出して塩を撒くので、そのつもりで。

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